紙の側面に強度と見栄えを生み出す技術

 用紙の側面加工には大きく分けて2種の方法があります。箔を定着させる「天金加工」と、絵の具のような染料で着色する「小口染」です。2種とも断裁の精度や、断裁面の研磨による平滑化などの手間が求められる加工です。昔は天金の職人がカンナ掛けすることで箔の艶を最大限引き出していましたが、現在は工程の効率化や接着材の進化で、以前より身近な加工になりつつあるといえるでしょう。小口染めも染料の進化で色数も増え、より綿密な仕様の検討に答えらるようになっています。側面加工は紙の酸化を抑制する効果もあり、長く使用される印刷物の保存効果を高めます。

1天金加工は、紙の側面に箔押し加工を施す技術です。もともとは、中世ヨーロッパにて聖書を紙の劣化から保護するために始まったと言われています。国内でも、天金加工を取り扱う会社は数えるほどですが、その工程のほとんどが箔を転写するための下処理として、紙の表面をヤスリで研磨してから箔を転写します。一方、河内屋(カワチヤ・プリント)ではカンナで紙の表面を削って、箔を転写しています。ヤスリで研磨すると、紙の表面がザラつき、箔を転写すると若干曇ります。カンナは紙の表面を薄く削り取るので、ツルツルの表面に仕上がります。そこに箔をのせるとヤスリとの違いは歴然。熟練の大工でも、紙の束を削るのは木を削るよりも難しいと言われるほどです。弊社が展開する文具ブランド KUNISAWAでもこの天金加工を採用しています。
2小口染め加工は、紙の側面に着色する技術です。紙はそもそも染料が染み込むものですが、河内屋(カワチヤ・プリント)では、表面処理の技術で小口染めの染み込みを最小限に抑えて加工できるところが評価されています。これは小口染めをするための専用の万力と、表面の研磨の技術によるものです。すべて手作業のため、大変に時間と労力のかかる加工です。

側面加工の特徴と注意点

・天金加工・小口染め加工は用紙の向き不向きがあるので、お問合せください。
・天金加工は金箔、銀箔だけでなく、顔料箔での加工も可能です。ただし、顔料箔は定着が悪いため触れたものに付着する可能性もありますのでご注意ください。
・バーコ印刷と小口染め加工を併用することはできません。
・大きさは1辺279mmの長さまでになります。
・小口染めは染料がわずかに内側に染み込む場合がありますので御了承ください。
・小口染の指定色の中からお選びいただきます。
・価格・料金につきましては個別にお見積りさせていただきますので、まずはご相談ください。