和紙への再評価
2014年10月、「和紙 日本の手漉(てすき)和紙技術」がユネスコの無形文化遺産に登録されました。日本の伝統技術が国際的に評価され、あらためて日本文化への世界的関心が高まっています。
和紙の特徴は、洋紙に比べて繊維が長く、折りたたみを繰り返してもなかなか破れないこと。また独特の柔らかい風合いを持つこと、保存性の高さなどです。
しかしその一方、和紙は極めてデリケートな素材のため、印刷加工がしにくいという問題もありました。
和紙の風合いを生かしながら、日本文化の魅力を印刷物として表現するにはどうすればいいか。それが私たちの長年のテーマでした。
和の印刷を提案
和紙は非常に魅力的な素材ではありますが、表面に独特の凹凸があり、また顔料がにじみやすいという特徴があります。この「にじみ」によって書の微妙なニュアンスなどが表現できるわけですが、印刷においては鮮明な文字が印刷しにくいという問題がありました。
ある国際的なデザイナーの方から「和紙を使った名刺をつくって欲しい」という依頼を受けたとき、私たちはこの課題に懸命に取り組みました。
「和紙の良さを生かし、なおかつ鮮明な印刷をする。さらに和紙印刷ならではの良さを発見する」
このテーマを克服することは並大抵のことではありませんでした。
試行錯誤の末、私たちがたどり着いた答えが「活版印刷 」です。凸版でインキを押し当てることにより、和紙の風合いを生かしながら、同時にエッジの効いた鮮明な印刷が可能になりました。また、印圧や紙の厚さを変えることにより、紙に適度な凹凸をつけて立体感ある文字表現が可能となりました。
私たちはさらにインキの調整などを行い、和紙の味を生かした新しい「和の印刷」を追求し続けました。その結果完成した名刺はクライアントに喜ばれ、お褒めの言葉をいただくことができたのです。
しかし私たちの研究はそれで終わりではありません。
近年、日本には海外からの観光客が急増しています。彼らの目には漢字の造形が魅力的に見えるらしく、Tシャツの文様に漢字をあしらったものなどが人気のようです。
それなら、外国人向けに和の印刷で「かっこいい名刺」「おしゃれな名刺」と感じていただける名刺が作れないか。いや、名刺に限らずインビテーションカードやバースデーカード、ギフトカードなど、さまざまなアイテムが開発できるはずです。さらに箔押しなどの特殊印刷との組み合わせにより可能性はさらに広がるでしょう。
さらに、和紙は「透過光の柔らかさ」にも大きな魅力があります。これを生かした和紙のランプシェードもあります。こういうものにも「和の印刷」が応用できないか・・・?
などなど、河内屋(カワチヤ)は「和の印刷」の技術推進と用途提案に力を入れています。
日本発の、世界に通用する印刷作品を。
私たちと一緒に、新たな印刷作品を生み出していきませんか?